任意のDNA塩基配列を認識しうるD-スモールプロテインの設計戦略を左図に示す。DNAを認識するD-アミノ酸からなるヘリックス中(約20アミノ酸)の同一表面に存在することが期待される5アミノ酸をランダム化し、第一段階のD-オリゴペプチドライブラリーとする。セカンドサブユニットとして、すでにどのようなDNA塩基配列に適合するかが明らかになっているもう一つの認識ヘリックスと二量体形成部位を導入することにより、異種二量体としてDNA結合能を有する機能性スモールプロテインライブラリーに変換する。このライブラリーを目的とするDNA配列に対してスクリーニングし、目的とする塩基配列を認識するD-ペプチド配列を決定する。このD-ペプチドを同種二量体としたものが、塩基配列認識能を持つD-スモールプロテインである。 平成14年度の研究では、既知のDNA認識ヘリックスの三次元構造に基づいて25アミノ酸から成るD-ペプチドを設計した。このペプチドがαヘリックスを取りうることをCDスペクトルにより実証したのち、そののち5アミノ酸をランダム化したペプチドライブラリーを作製した。樹脂上のペプチドを選択的ジスルフィド結合生成により5'-ATGAC-3'配列を認識することがわかっている23アミノ酸残基のL-体アミノ酸から成るペプチドを導入し、機能性スモールプロテインライブラリーへと変換した。同時に、25アミノ酸から成るL-ペプチドを設計し、5アミノ酸をランダム化したペプチドライブラリーを作製したのち、同様の方法でスモールプロテインライブラリーを作製した。このL-ペプチド機能性ライブラリーを用いてDNAに対してスクリーニングする条件を検討した。
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