任意のDNA塩基配列を認識しうるD-スモールプロテインを得るために、(1)DNAを認識するD-アミノ酸からなるヘリックス中(約20アミノ酸)の同一表面に存在することが期待される5アミノ酸をランダム化し、第一段階のD-オリゴペプチドライブラリーとする、(2)セカンドサブユニットとして、すでにどのようなDNA塩基配列に適合するかが明らかになっているもう一つの認識ヘリックスと二量体形成部位を導入することにより、異種二量体としてDNA結合能を有する機能性スモールプロテインライブラリーに変換する、(3)このライブラリーを目的とするDNA配列に対してスクリーニングし、目的とする塩基配列を認識するD-ペプチド配列を決定する、という戦略をたてた。 ロイシンジッパータンパク質GCN4のDNA認識ヘリックスを基にStructure-based Designを行い、DNA塩基配列の認識に関わると考えられる5箇所のアミノ酸をそれぞれアラニン、アルギニン、スレオニン、アスパラギン、セリンを用いてランダム化したD-ペプチドライブラリーを構築した。このライブラリーに対して天然型GCN4ペプチド(23アミノ酸)をセカンドサブユニットとして用いてジスルフィド結合により化学修飾し、DNAとの親和性を高めた後、特定のDNA配列に対する結合を指標としてスクリーニングを行い、目的の塩基配列を認識するD-ペプチド配列を決定することを試みた。天然のGCN4が認識するDNA配列に対してランダム化したL-ペプチドライブラリーを用いてスクリーニングしたところ、ほぼ天然のものと同じアミノ酸配列が得られることがわかったことから、この戦略の妥当性が示された。現在D-ペプチドライブラリーを用いて、スクリーニングを行っている。
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