研究概要 |
Ig-Heptaは膜7回貫通型受容体のサブファミリーLNB-TM7に属する。このサブファミリーに属するメンバーの特徴は,N末端が長く,そこにEGFやカドヘリンやレクチンなどのドメイン構造が繰り返し見られることである。私たちが見出したIg-Heptaの場合は,免疫グロブリン様リピートを有する。私たちは,これまでの研究で,Ig-Heptaが3種のプロテアーゼ(Signal peptidase,未同定のSEA module切断酵素,未同定のGPS切断酵素)によって,以下のように4つのフラグメントに切断されることをアフィニティー精製が可能なIg-Hepta--Fc融合タンパク質のプロセッシング過程を解析することによって明らかにした:(1)シグナルペプチド(1--24),(2)プロEGF2(25--223),(3)Ig-リピート(224--993),(4)膜7回貫通部(994--1349)。本年度は,プロEGF2領域がFurinによるプロセッシングを受けてEGF2(52--223)になるという興味深いプロセッシングが起こることを見い出した(この研究には,プロセッシング酵素Furinを欠くLoVo細胞の使用が鍵となった)。このEGF2フラグメントは,負電荷に富む細胞外マトリックスタンパク質に結合しやすいことも明らかになった。この性質は,FGF(fibroblast growth factor)やHGF(hepatocyte growth factor)やHBEGF(heparin binding epidermal growth factor)などと似ている。Ig-Heptaは多数のプロセッシングサイトを有し,ホルモン様分子の前駆体ともなるという事実は,Ig-Heptaの組織分布(腎臓のA型間在細胞や肺)とともに機能を推定する上で有用と思われる。
|