研究課題/領域番号 |
14658208
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大木 和夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80115394)
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研究分担者 |
大場 哲彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10250664)
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キーワード | 非二重層形成脂質 / 顕徼鏡画像化解析 / 密度測定 / 脂質変換 / 生体膜物性 / ラフト / 膜透過性 / 実時間観察 |
研究概要 |
生体膜の構造を形成する脂質分子は分子種により多様な形状をもち、その形状は酵素による脂質代謝で変化する。円柱状分子が形成する平面的な二重層構造に対して、円錐型分子はヘキサゴナルII構造、逆転ミセルなどの非二重層構造を形成する傾向をもつ。膜脂質分子の円柱状から円錐状への代謝的な変換が生体膜(脂質膜)の構造と物性をどのように変化させ機能を制御するかを解明する研究を実施し、既にその成果を得ることが出来た。本年度は前年度に得られたラフトに関連する研究を発展させ、特定の蛋白質がラフトに集積する機構の研究を行った。ラフトに特定の膜蛋白質集積する機構は未解明であるが、脂質膜と膜蛋白質の疎水性領域のマッチング(整合性)の可能性が調べられている。そこで、蜂毒ペプチドのメリチンを膜蛋白質のモデルとして各種リン脂質の2成分系で示差走査熱量測定から選択的な相互作用を調べる実験を実施した。脂肪酸側鎖の炭素数が14から18までのホスファチジルコリン(PC)とホスファチジルエタノールアミン(PE)の組み合わせの2成分系で実験を行った。脂肪酸側鎖の炭素数が14のDMPCとの組み合わせで、Miscibilityが低いときは2つの分離した転移ピークが現れ、メリチンの添加でDMPC-richのピークが選択的に消失した。DMPCとMiscibilityが高い脂質との組み合わせでは1つの転移ピークとなり、メリチンの添加でDMPCとの選択的な相互作用により、相分離が生じた。一方、ホスファチジルエタノールアミンは極性頭部が小さい非二重層形成脂質であるため脂質膜の側方圧力が高く、メリチン分子が脂質膜に侵入しにくいことが密度測定により示された。
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