発生開始期における転写誘導を制御する新規な転写制御因子の機能解析

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14658223
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 野島 博 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (30156195)
• 研究分担者: 薮田 紀一 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (10343245)
• キーワード: 精子細胞 / トランスジェニックマウス / ノックアウトマウス / 転写制御因子 / サブトラクション / ウエスタン解析 / ノーザン解析 / CREM-tau

研究概要

これまでにGST1-Tisp40の融合蛋白質を発現させて純化し抗原としてポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を作製した。これを用いてTisp40が精子細胞特異的に発現されていることや、精子核染色体に局在することを証明することができた。また、この実験の過程でTisp40には2種類のmRNAが発現されていることが分かったので、これらから発現される蛋白質をTisp40α(315aa)、Tisp40β(370aa)と呼ぶことにした。精子発生過程にいかなる影響が生じるかを調べるなどの個体レベルでの機能解析のためTISP40ノックアウトマウスを作製中である。ついでTISP40遺伝子のプロモーターの下流にTISP40-GFP遺伝子を接続し、精子細胞特異的にTisp40-GFPが発現できるトランスジェニックマウスを作製した。すでに精巣で転写誘導活性のあることが分かっているアクロシンプロモーターとともにTISP40遺伝子の2kbほど5'上流のDNA断片を加えたコンストラクトも独立に作成して2系統のトランスジェニックマウスを作成した。精巣をとってウエスタン法により解析した結果、両方のプロモーターにおいて同程度のTisp40-GFPが発現していた。CREM-tauノックアウトマウスを入手して精巣を取り出し、約100枚のノーザンブロットを作成してこれまでにクローニングしてきたTISP遺伝子群のうちいずれがCREM-tauの転写標的遺伝子になっているか解析した。その結果約7割のTISP遺伝子群が転転写標的遺伝子となっていることが分かった。同様な実験をTrf2ノックアウトマウスを入手して行ったところ、どのTISP遺伝子もTrf2の転写標的遺伝子ではないことが判明した。

研究成果

• [文献書誌] Shimada, M., Nabeshima, K., Tougan, T., Nojima, H.: "The meiotic recombination checkpoint is regulated by checkpoint rad+ genes in fission yeast"EMBO Journal. 21・11. 2807-2818 (2002)
• [文献書誌] Watanabe, T., Miyashita, K., Saito, T.T., Nabeshima, K., Nojima, H.: "Abundant poly (A)-bearing RNAs that lack open reading frames in Schizosaccharomyces pombe"DNA Research. 9・1. 1-7 (2002)
• [文献書誌] Fujii, T., Tamura, K., Masai, K., Tanaka, H., Nishimune, Y., Nojima, H.: "Use of stepwise subtraction to comprehensively isolate mouse genes whose transcription is upregulated during spermiogenesis"EMBO Report. 3・4. 367-372 (2002)
• [文献書誌] Tougan, T., Chiba, Y., Kakihara, Y., Hirata, A., Nojima, H: "Meu10 is required for spore wall maturation in Schizosaccharomyces pombe"Genes Cells. 7・2. 217-231 (2002)
• [文献書誌] de Carvalho, C.E., Tanaka, H., Iguchi, N., Ventela, S., Nojima, H., Nishimune, Y.:: "Molecular cloning and characterization of a complementary DNA encoding sperm tail protein SHIPPO 1"Biology of Reproduction. 66・3. 785-795 (2002)
• [文献書誌] Nakamura, Y., Tanaka, H., Koga, M., Miyagawa, Y., Iguchi, N., Carvalho, G.E., Yomogida, K., Nozaki, M., Nojima, H., Matsumiya, K., Okuyama, A., Nishimune, Y.: "Molecular cloning and characterization of OPPO 1 : a haploid germ cell-specific cDNA encoding sperm tail protein"Biology of Reproduction. 67・1. 1-7 (2002)