通常は染色体ペアリング依存的な転写活性化を受けないmini-white遺伝子を有するトランスポゾンをゲノム上にランダムに挿入させ、挿入部位の位置効果で、マーカーであるmini-white遺伝子の発現が染色体ペアリング依存的に活性化することを利用し、このような制御を受ける領域がどれくらいの割合であるか推定する解析を昨年度に引き続いておこない、その解析の精度を高めた。その結果、調べる事ができた462系統の中で、6系統で染色体ペアリング依存的にmini-white遺伝子の発現が活性化される事が判明し、ゲノム中のかなり多くの遺伝子で、この機構が作用しており、この機構がショウジョウバエでの遺伝子発現の調節に重要な役割を果たす事が示唆された。 次にこの機構がどこの領域でおこりうるのか調べることにより、どのような生物学的意味があるのか推定できる可能性があると考え、色体ペアリング依存的な転写活性化を受けないmini-white遺伝子が挿入部位の位置効果で活性化された系統でのトランスポゾンの挿入位置をインバースPCR法で決定した。その結果、3カ所の部位での挿入位置を明らかにする事ができた。現在のところ、これらの遺伝子と活性化機構との間で何らかの統一的な関係は見いだされていないが、一部の遺伝子は、ファミリーを形成する遺伝子であり、重複して遺伝子が生じて進化していく過程で非常に重要な役割をになった可能性があると考えられた。
|