研究課題/領域番号 |
14658233
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
北田 栄 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (20284482)
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研究分担者 |
伊藤 明夫 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (30037379)
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キーワード | ミトコンドリア / 構造異常タンパク質 / ストレス / 細胞応答 / 情報伝達 / 分子シャペロン / タンパク質分解 |
研究概要 |
酵母ミトコンドリア内での異常タンパク質蓄積ストレスの発生に伴ってミトコンドリアが情報を発信し、恒常性維持のために細胞がどのような応答を示すのか?に着目し、本年度は以下のような解析を行なった。 (1)異常タンパク質の蓄積によるミトコンドリアストレス系の確立 MPP(ミトコンドリアプロセシングペプチダーゼ)は、細胞質からミトコンドリア内に輸送されたタンパク質前駆体のプレ配列を特異的に認識して切断し、成熟体へと変換する。多くのタンパク質は前駆体では正確な高次構造がとれないため、MPP機能不全ミトコンドリアにおいて構造異常タンパク質の誘導が可能と考えられる。本研究で用いたMPPβサブユニットの活性中心にある73位のGluをGlnに変異させた不活性型MPPのガラクトース誘導発現型酵母(ドミナントネガティブ型=DN型)では、細胞の成育が低下し、ミトコンドリア中に前駆体タンパク質が蓄積していることが明らかになった。更に各種抗体を用いたウエスタンブロッティング法によりタンパク質の存在量を調べた結果、DN型では野生型に比べ、電子伝達系のタンパク質であるシトクロム酸化酵素サブユニットIIやIV等のミトコンドリアあたりの存在量が減少した。また、細胞のATP量、呼吸活性を測定したところ、DN型では両方において代謝の低下が見られた。よってDN型酵母では、ミトコンドリア内に前駆体タンパク質が蓄積することで、タンパク質が分解し易くなりミトコンドリアの機能が低下していると考えられる。以上のように今年度ミトコンドリアでの異常タンパク質によるストレス誘発系のモデルを構築した。 (2)ストレスに対する核からの救助応答(分子シャペロンやタンパク質分解系の調節)は存在するか? 現在、各種ミトコンドリアタンパク質、及び分子シャペロンやタンパク質分解系遺伝子のmRNA発現レベルをノーザンブロッティングにより解析している。
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