リボザイムを用いた組織特異的ノックアウトマウス作製法の開発

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14658241
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 中山 啓子 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (60294972)
• キーワード: リボザイム / ライブラリー / トランスジェニックマウス

研究概要

リボザイムが標的遺伝子のRNAを切断することによってその発現レベルが低下させることは、培養細胞を用いた実験ですでに証明済みである。そこでまず、この現象がマウス個体内で再現可能であるかを検証し、効果的な発現レベル低下法を確立させる。その方法を用いて最終的には、リボザイムライブラリーによる網羅的な変異マウスを作製し、その表現型から原因遺伝子の探索を行うことを本研究の目的とした。
まずp27及びSkp2のリボザイムベクターを作製し、細胞にトランスフェクションすることによって、p27の発現量の変化を特に次の二点において調べた。(1)リボザイムベクターの開発:リボザイムベクターは従来の発現ベクターを改良したものに加え、レトロウィルスベクター由来も開発し、その有効性の比較検討を行った。(2)ターゲット配列の検討:リボザイムの認識配列とその発現低下効果の比較検討を行った。
その結果、レトロウィルスベクターでは安定な遺伝子の導入効率が得られるものの、タンパク発現の抑制効果が低いことが判明した。これは、リボザイムの転写量に依存していると考えている。ターゲット配列については、一定の法則性を見出すことができなかったが、本研究計画では、ランダムなライブラリーの構築を目指しており、本研究の遂行に支障はないと判断している。
来年度はリボザイム上の標的遺伝子認識配列をランダムに合成することによって、リボザイムライブラリーを構築することを目標とする。このライブラリーはランダムな塩基配列を持つDNAを人工的に合成することによって作製するので、通常のcDNAライブラリー等の作製に比し、偏倚の無いものを容易に作製することができると考えている。

研究成果

• [文献書誌] Minamishima, Y.A. et al.: "Recovery of liver mass without proliferation of hepatocytes after partial hepatectomy in Skp2-deficient mice"Cancer Res.. 62. 995-999 (2002)
• [文献書誌] Kanematsu, T. et al.: "Role of the PLC-related, catalytically inactive p130 in GABA_A receptor function"EMBO J.. 21. 1004-1011 (2002)
• [文献書誌] Ishida N. et al.: "Phosphorylation of p27^<Kip1> on serine 10 is required for its binding to CRM1 and nuclear export"J. Biol. Chem.. 277. 14355-14358 (2002)
• [文献書誌] Miyamoto A. et al.: "Increased prolieration of B cells and auto-immunity in mice lacking protein kinase Cδ"Nature. 416. 865-869 (2002)
• [文献書誌] Masuda T. et al.: "Clinical and biological significance of S-phase kinase-associated protein 2 (Skp2) gene expression in gastric carcinoma : modulation of malignant phenotype by Skp2 overexpression, possibly via p27"Cancer Res.. 62. 3819-3825 (2002)
• [文献書誌] Garcia-Fernadez. et al.: "Aplidin induces the mitochondrial apoptic pathway via oxidative stress-mediated JNK and p38 activation and protein kinase Cδ"Oncogene. 21. 7533-7544 (2002)
• [文献書誌] Tomari SI et al.: "Glomerular differentiation in p27 and p57 double-mutant metanephoroi"Anat. Embryol.. 206. 31-36 (2000)
• [文献書誌] Kaneko C. et al.: "Characterization of the mouse gene for the U-box-type ubiquitin ligase UFD2a"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 300. 297-304 (2002)
• [文献書誌] Yoshida, K. et al.: "Involvement of p27^<KIP1> degradation by Skp2 in the regulation of proliferation in response to wounding of corneal epithelium"Invest. Opthalmol. Vis. Sci.. 43. 364-370 (2000)