研究概要 |
1.プラナリア解離細胞からの単一細胞単位のcDNAの調製と視細胞由来cDNAの同定 眼胞を含むプラナリア頭部よりトリプシンを用いて調製した解離細胞をFACSに供し、分取した372個の細胞から単一細胞単位のcDNAを合成した。EF1遺伝子特異的プライマーを用いたreal-time PCRによる解析から、166個のcDNAの合成が行えたことを確認した。さらにプラナリア視細胞特異的な発現が確認されている遺伝子rhodopsinおよびarrestin遺伝子の発現を指標に視細胞由来のcDNAを同定した。その結果、17個のcDNAにいずれかの遺伝子の発現が検出され、視細胞由来cDNAと同定した。 2.マウス網膜解離細胞からの単一細胞単位のcDNAの調製と細胞種の同定 成体マウス網膜からパパイン処理によって解離細胞を調製し、プラナリア視細胞と同様の手法で164個の単一細胞単位のcDNAを得た。細胞種特異的発現遺伝子を指標にcDNAの細胞種の同定を試みた結果、rhodopsinとopsin遺伝子は発現細胞が明確に分けられたのに対し、Thy1,Pax6等他のマーカー遺伝子は共発現しているケースが多く検出された。in situ hybridization法等の従来の発現解析法と比べ、本解析法の検出感度が高いことから、より本来の遺伝子発現プロファイルを反映した結果であることが示唆された。現在、多種類の遺伝子の発現解析から、発現の多様性を指標にしたクラスタリング解析を行い細胞種の分類を試みている。 3.cDNAライブラリの作成とESTを用いた遺伝子プロファイリング プラナリア視細胞とマウス視細胞間の遺伝子発現プロファイリングの比較を行う一歩として、プラナリアESTより得られたクローンの中でneurotransmitter receptorに着目し、プラナリア、マウス両視細胞での相同遺伝子の発現解析を現在行っている。
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