1.プラナリア頭部cDNAライブラリを用いたEST解析と遺伝子の同定 解析遺伝子セットを増す目的でEST解析を行い、視神経関連遺伝子の網羅的な獲得を目指した。約2万遺伝子のcDNAクローンの塩基配列決定を行った結果、脊椎動物の網膜形成に関与する転写因子chx10、isletをはじめ、神経伝達物質合成酵素群、伝達物質受容体遺伝子を多数同定した。 2.プラナリア視細胞と頭部神経細胞の単一細胞単位の遺伝子発現プロファイリング 前年度に調製したプラナリア視細胞由来cDNAについて定量的PCR法を用いて遺伝子発現プロファイリングを行った。視細胞の発現プロファイルの単一性を比較する目的で、視細胞近傍の細胞についても同様に発現解析を行った。17個の視細胞cDNAを含む166個のcDNAに対し、67種類の遺伝子の発現を解析した結果、視細胞マーカー遺伝子rhodopsin、arrestinは一様に発現が検出されたものの、他の遺伝子群においては発現レベルに差が検出され、従来均一と考えられていたプラナリア視細胞も多様性に富むことが初めて明らかとなった。 3.クラスタリング解析を用いた細胞種の分類の試み 視細胞および視細胞近傍の細胞の遺伝子発現レベルに高い多様性が存在することが明らかとなり、細胞種の分別する手法が必要不可欠となった。そこで客観的な細胞種の分類を行う目的で、クラスタリング解析の導入を試み、有効性を評価した。データは相関係数法を用いて距離を算出し、UPGMA法を用いてクラスター化した。その結果、視細胞マーカー遺伝子を発現する細胞群、および筋肉マーカーMHC遺伝子を発現する細胞群がそれぞれ独立のクラスターを形成したことから、今後、同様の単一細胞単位の遺伝子発現解析を行う上で、クラスタリング解析が有効かつ必須の手法であることが明らかとなった。
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