研究概要 |
ネンブタール麻酔下にて慢性記録用ホルダーを頭部に埋め込み、慢性ネコを作成した。手術より回復するのに一週間以上待った。回復後、覚醒状態において、防音室にて慢性記録実験を行った。ネコの頭部を固定し、大脳皮質高次聴覚野から単一神経活動電位を細胞外記録した。記録電極には微小ガラス電極を使用した。記録中に純音と複合ハーモニクス音の音程刺激を行った。音のスペクトルはコンピュータで作成した。複合音は基音と倍音(128-16,000Hzまで)によって構成される楽音を作った。missing fundamental刺激として基音周波数の欠損した楽音と、さらにその構成倍音もシステマティック(第2音欠損、第2、第3音欠損...)に欠損した楽音を作った。作成したスペクトルは逆フーリエ変換により時間軸での音波形に変換した。変換の位相はランダム位相、コサイン位相、交代位相とした。DAコンバータと増幅器を介してヘッドフォンスピーカーより出力した。ネコの外耳がある空間において刺激音の音圧レベルは構成音間で同じであるようにキャリブレーションした。単一神経活動電位が記録されたら、まず純音刺激に対する反応の周波数特性と最大反応周波数を調べた。周波数特性が刺激音圧レベルによりどのように変わるかを調べた。また純音刺激においてニューロン反応の時間経過がどのようなものであるのかを調べTonic cellとPhasic tonic cellを選択した。Posterior Ectosylvian Sulcusに沿って数多く(100個以上)のTonic cellとPhasic tonic cellを記録した。純音刺激での最大反応周波数に一致する基音周波数を有する楽音刺激には数多くの細胞が反応した。しかし、基音周波数を有する楽音刺激に反応し、さらに、missing fundamental刺激にも反応する細胞はごくわずかであることがわかった。
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