研究概要 |
慢性ネコを作成し,覚醒状態において、防音室にて慢性記録実験を行った。ネコの頭部を固定し、大脳皮質高次聴覚野から単一神経活動電位を細胞外記録した。記録中に純音と複合ハーモニクス音の音程刺激を行った。音のスペクトルはコンピュータで作成した。複合音は基音と倍音(128-16,000Hzまで)によって構成される楽音を作った。missing fundamental刺激として基音周波数の欠損した楽音と、さらにその構成倍音(第2音欠損、第2、第3音欠損...)も欠損した楽音を作った。作成したスペクトルは逆フーリエ変換により時間軸での音圧波形に変換し出力した。変換の位相はランダム位相、コサイン位相、交代位相とした。DAコンバータと増幅器を介してヘッドフォンスピーカーより出力した。単一神経活動電位が記録されたら、まず純音刺激に対する反応の周波数特性と最大反応周波数を調べた。周波数特性が刺激音圧レベルによりどのように変わるかを調べた。また純音刺激においてニューロン反応の時間経過を調べた。Posterior Ectosylvian Sulcusに沿って数多くの持続反応型細胞を記録した。純音刺激での最大反応周波数に一致する基音周波数を有する楽音刺激には数多くの細胞が反応した。基音周波数を有する楽音刺激に反応し、さらに、missing fundamental刺激にも反応する細胞をごく少数であるが発見した。低次の構成倍音が欠損すると反応性は低下した。さらに基音周波数の2倍と1/2倍の基音周波数の複合音刺激にも反応した。
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