1 ベクターの構築 コンバージョン型アンチセンス転写誘導ジーントラップ(GT)ベクター『υ1』『υ2』を構築した。υ1はダブルGTベクターであり、センス-アンチセンス転写ユニットのどちらにもプロモーターは付けておかない。υ2はシングルGTベクターであり、アンチセンス転写ユニットにはhCMVプロモーターを付けてある。(υ1のコントロールベクター)。 2 ベクターの機能確認 これらベクターの機能をまず確認するために、ラットアストログリオーマ由来のC6細胞株に制限酵素処理して直鎖にしたベクターを、リポフェクション法によって遺伝子導入した。2種類の薬剤(G418とハイグロマイシン)でベクターの組み込まれたC6細胞をセレクションして、G418およびハイグロマイシン耐性コロニーが出現するかどうかを観察した。その結果、どちらのベクターも機能して、薬剤耐性コロニーの形成が認められた。また、薬剤セレクションに耐性を示した細胞株において、レポーター遺伝子LacZとEGFPの発現が観られた。従って、どちらのベクターも宿主ゲノムのある遺伝子のプロモーター下流に組み込まれた場合、エクソンとして機能し、薬剤耐性遺伝子とレポーター遺伝子を発現できることが分かった。 3 コンバージョン型アンチセンス転写の発現をもたらすCre発現ベクター Cre発現ベクター『pMoCre』を構築した。このベクターが対象細胞に取り込まれたかどうかを判断するために、ピューロマイシン耐性遺伝子を新たに組み込んだ。 今後、コンバージョン型アンチセンス転写誘導GTベクターの組み込まれた細胞株をまず樹立する。そこにCre発現ベクターを導入し、アンチセンス転写を誘導した際に、細胞の表現型の変化の有無等を解析する。
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