研究課題/領域番号 |
14658276
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
野水 基義 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (00311522)
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研究分担者 |
西 則雄 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (70001857)
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キーワード | ラミニン / キトサン / ペプチド / 人工基底膜 / インテグリン / シンデカン |
研究概要 |
ラミニンの機能ペプチドを化学的にキトサン膜に結合し、基底膜様の作用をもった人工マトリックスの創製を目的に研究を継続中である。本年度は主に、機能ペプチドを単独あるいは組み合わせてキトサン膜に結合させ、その上に表皮、神経、繊維芽細胞など異なった由来の株細胞を加え、生物活性を測定した。ラミニン-1由来のペプチドスクリーニングから同定された約20種類の中でも、A13、A99、C16、AG73など活性の強いペプチドをキトサン膜に化学的に固定化したところ、A99を結合させたキトサン膜上ではインテグリンを介して、AG73を固定化させたキトサン膜上ではシンデカンを介して、それぞれ細胞に接着することがわかった。次に、これらの2種類のペプチドを固定化したキトサン膜を作成したところ、1種類のみのペプチドを結合させたものに比べて、細胞接着や神経突起伸長の顕著な増強効果がみられた。これは、各々のペプチドがそれぞれ特異的なレセプターを介して細胞に対して作用することによって活性が増大されたことによると考えられる。現在、このペプチド-キトサン膜のin vivoでの作用をみるために、マウスでの創傷治癒に対する影響を検討中である。 また、アミロイド様繊維を形成するペプチドであるA208とフィブロネクチンの細胞接着部位であるRGDペプチドを利用して、多機能性ペプチドフィブリルの創製をめざした研究も行った。A208はIKVAVレセプターを介して、RGDはインテグリンを介して細胞と接着することがわかっている。これらの配列を組み合わせたペプチドであるFN-A208を合成し、その生物活性を測定した。細胞の形態観察などの結果からFN-A208はインテグリンとIKVAVレセプターの両方が細胞に作用していることが示唆された。これらの結果はKasaiらBiopolymers印刷中(2004)に報告した。
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