研究課題
循環器系の疾患(高血圧症、高脂血症、糖尿病など)において酸化ストレス増加に伴う血管内皮機能障害が問題となっている。特に、内皮細胞の重要な機能の一つとして、一酸化窒素(NO)ラジカルの産生能がある。今年度は、in vivoでの内皮細胞の機能の定量的評価方法として、カテーテル型NOセンサの開発を行った。センサの基本特性は既に評価済みであり、安全な使用を可能とするため、先端にソフトチップをとりつけ、さらに感知部の強度保持のための合金製ワイヤを取り付けた。実験動物(イヌ)の冠状静脈洞内における血中NO濃度計測を行った結果、繰り返し、安定した計測ができることを確認した。一方、こうした血管内皮機能障害がある場合、内皮機能の改善とともに外因性NO(NOドナー)の供与が行われる。しかし、それによってある程度残されていた血管内皮由来NO産生が影響される可能性が示唆されており、今回、詳細な検討を行った。NOドナーとしてS-nitroso-N-acetylpenicillamine (SNAP)、対象血管として摘出したイヌの大腿動脈を用いたところ、力学的刺激としての流れ(ずり応力)依存性の内皮細胞由来NO産生能が、著しく抑制され、その機序として内皮細胞内NO合成酵素(NOS)の補酵素であるテトラヒドロビオプテリンの有効量の低下が示唆された。それにより、NOS由来のスーパーオキサイドの産生が増加することも認め、内皮細胞の障害時にNOドナーを使用することによって、それをさらに悪化させる可能性が示唆され、使用に際しての十分な注意が必要であると考えられた。(Am J Physiol 2005)
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Journal of Mechanics in Medicine and Biology (印刷中)