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2002 年度 実績報告書

形式操作の概念的理解を促進する操作手順の協調的再吟味方法

研究課題

研究課題/領域番号 14701003
研究機関中京大学

研究代表者

白水 始  中京大学, 情報科学部, 助手 (60333168)

キーワード概念的理解 / 協調学習 / 形式操作 / 認知過程の中途結果 / 役割交換 / 立場交換 / 学習実践 / 言語データ / プロセス分析
研究概要

本研究では理数科目など自然科学の深い理解を促進する方法を見つける。候補の一つが課題を解く際の解き方や操作手順を協調的に吟味する方法である。折紙の3/4の2/3を求める課題を用いて、ペアの大学生が折紙を折る手順の相互吟味から答えが計算でも求まることに気づく過程を分析してきた。その結果、折り目という外的な操作結果を、手を止めて少し離れた視点から傍目八目的に眺めることが相手より抽象的な見方をするのに役立ち、立場を交換しながらより抽象的な見方を提供し合えることが協調過程のメリットだとわかった(Shirouzu, Miyake & Masukawa,2002)。しかし大学生にとって「3/4×2/3=1/2」という掛け算は既知であり、新しい知識を得る話ではない。
そこで内外の共同問題解決研究を検討し、新規な課題を解く学習者で上記のような立場交換を経て科学的概念を獲得する例があるかを調べた(Shirouzu & Miyake,2002)。結果、加速度や指数関数など、未知の概念を獲得したとされる言語データも厳密に見れば理解の指標として不十分であり、立場交換はもとより、そもそも協調学習で理解深化が起きるのか疑問が生じた。
そこで本格的な協調学習を推進する北米の学習実践プロジェクトを複数取材し、理数科目のカリキュラムと生徒の学習過程を詳細に検討した(三宅・白水,2003)。結果、協調学習成功の鍵として、1.仲間の解法を生徒が互いに参考にして吟味できるよう協調的な学習文化をクラスに育てること、2.与えられた課題を解く中で概念的理解に繋がる深い問いを生徒が自発的に生成すること、という二点を抽出した。互いの操作手順が物理的に「見える」だけでなく、意味を解釈して積極的に「見る」ことができるよう、手順が互いに関係あると認識させる必要がある。折紙実験では折り目を解釈できる既有知識が被験者にあった。自然科学では世界を支配する物理原則等の現象が初学者にも体感できる強みがある。課題や学習活動が時間をかけて折り重なるようにカリキュラムを構成し、学習者が互いの操作手順を協調的に吟味しながら自発的・構造的に自然現象の理解を深められないか、実践的に検証したい。その成果を自然科学ほど共通の認識基盤が無いように見える認知科学等の人間研究に応用し、人間行動の基盤となる観察眼・解釈力の育成に役立てたい。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Shirouzu, H., Miyake, N., Masukawa, H.: "Cognitively active externalization for situated reflection"Cognitive Science. 26・4. 469-501 (2002)

  • [文献書誌] 三宅なほみ, 三宅芳雄, 白水 始: "学習科学と認知科学"認知科学. 9・3. 328-337 (2002)

  • [文献書誌] 三宅なほみ, 白水 始: "鈴木他論文へのコメント2"認知科学. 9・3. 400-403 (2002)

  • [文献書誌] Shirouzu, H., Miyake, N.: "Guided verbalization for conceptual understanding : A scaffold for making sense of multiple traces of cognition"American Educational Research Association, 2002. (2002)

  • [文献書誌] Shirouzu, H., Miyake, N.: "Learning by collaborating revisited : Individualistic vs. convergent understanding"The 24th Annual Conference of the Cognitive Science Society. 24. (2002)

  • [文献書誌] Miyake, N., Masukawa, H., Yuasa, K., Shirouzu, H.: "Intentional integration supported by collaborative reflection"Proceedings of CSCL 2002. 605-606 (2002)

  • [文献書誌] Miyake, N., Shirouzu, H.: "Concurrent and retrospective talk as an assessment tool for complex learning"Proceedings of International Conference of the Learning Sciences. 645-646 (2002)

  • [文献書誌] 三宅なほみ, 白水 始: "学習科学とテクノロジ"放送大学教育振興会(印刷中). 214 (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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