本研究の目的は「福祉相談ナレッジマネジメントシステム構築」と「福祉相談システム構築」の2つであり、2002年度は主に「福祉相談ナレッジマネジメントシステム構築」を行った。 半年にわたりIT分野における相談ナレッジベース製作の講習を受け、福祉分野でも基本的な面では有効利用できる事を確認した。また、福祉分野の相談ナレッジベースに必要な入力インターフェースや相談記録技法についても検討を行い福祉相談ナレッジ構築の基礎技術を確立した。この技法をもとに福祉現場に寄せられた200件程度の福祉相談事例と福祉現場実習における学生からの相談事例の収集および解析をおこない、それぞれの相談内容情報を「ゴール」、「情報」、「症状」、「変更」、「原因」、「処置」、「否定」の7種類の構成要素に分解して記録し、福祉相談事例ナレッジベースの構築を行った。さらに相談内容に対応した援助方法および注意点に関する情報も併せて記録し、ナレッジマネジメント支援システム上で運用できるようにハード面およびソフト面の環境整備を行った。 さらに福祉現場で利用しやすい相談支援システムのインターフェースデザインを行った。また、具体的な福祉相談記録のための業務プロセスモデルの検討も行い、ナレッジマネジメント支援システム上でプロセスモデルを支援するためのフロントエンドおよびサブシステムの実装も開始した。このシステムでは相談事例の利用頻度に伴い、事例としての価値が高まる仕組みや、利用者の事例に対する評価もナレッジの持つ価値としての重み付けに利用している。
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