研究概要 |
本年度の研究実緕はおおまかに,以下の2つにまとめることができる。 1 日本の株式市場データを用いた消費CAPMモデル実証 消費CAPMモデルの発展として,消費と金融資産の比率をリスク変数として用いたときの,株式リターンのクロスセクションに関する説明力についての分析を行った(「リスク変数としての消費」,『経済研究』に掲載予定)。消費と金融資産の比率を用いた消費CAPMは,通常のCAPMやFama=French型のマルチ・ファクター・モデルと比較しても,十分に高い説明力を持つことが示された。また関連するトピックとして,日本の株価指数(TOPIX)のリターンの統計的性費に関する分析と,それを規模別ポートフォリオの相互自己相関に結びつけて藏論する研究を行った(「株価指数の系列相関と規模別ポートフォリオの相互自己相関」,『現代ファイナンス』に掲載予定)。 2 家計のポートフォリオ選択に関する研究 以前,日本の家計のポートフォリオ選択,特に株式等の危険資産の需要に関する個票データを用いた分析を行ったが,その研究の発展として,持ち家の購入に関する選択が危険資産の需要に与える影響を分析する理論モデルを構築するとともに,具体的な数値例を用いたシミュレーションを行うことを試みている。また,日本の富裕層(スーパー・リッチ)のポートフォリオ選択に関しての分析を始めた。これによって,ベンチャー・キヤピタル,プライベート・エクィティ,ヘッジ・ファンド等の,大きなリスクをとるようなスタイルの投資について,日本における資金の供給者としての富裕層の可能性について分析を行っている。
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