本研究の目的は、1950年代半ばから70年代にかけて起こった日米繊維摩擦問題について、経済史的なアプローチによって解明することである。従来、こうした研究は、政治史ないしは経済学的な理論先行の立場から進められることが多く、当時の日米経済に関する一次資料に基づいた実証的研究が乏しいという状況にあった。本研究では、先進国が抱える衰退産業問題--産業構造の変化と企業の適応、および政策的対応--という観点から、この貿易摩擦問題を位置づけ、その歴史的意義を確定する作業を行っている。 本年度は、昨年度来、収集しているアメリカ国立公文書館資料、OECD資料、日本紡績協会資料などの整理・解読を行い、研究会等での成果発表を行った。その一部は共著書として刊行が予定されている。
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