昨年度は、住居・オフィス・店舗が混在する都市型集合住宅の調査を行い、都市における小規模集合住宅での住まい方の実態を浮き彫りにした。本年度は昨年度に引き続き、都市居住ユニットの最小単位についてさらに研究を進めた。その内容は、主に次の3点である。 (1)ヨーロッパにおける都市小規模住宅に関する調査および見学 ・都市住宅の作家として知られるル・コルビジェの住宅を中心に、フランスに現存する作品の見学および調査を行うなかで、次世代の都市住宅に関する考察を行った。 ・東京と同様に高密巨大都市であるパリに居住する18名に対して、環境行動や都市機能の使い方の視点から調査を行った。 ・その結果、特にパリの居住者はなるべく交通機関を使わないなど、自宅から徒歩圏にある都市機能の充実と利用の意識に関して、東京との違いが見いだされた。 (2)昨年度の研究成果の発表 ・今後都市において増加が見込まれる住宅、オフィス、店舗の三者が混在する都市型集合住宅の典型事例として「駿河台の集合住宅ilusa」の調査結果をまとめて、学会発表を行った。 (3)首都圏で暮らす単身居住者と住居に関する研究の継続 ・30代で一度も結婚をしたことのない男女が増加している。都市と住居に求められる生活機能と役割に関する一連の調査研究成果より、首都圏で暮らす30代の単身居住者にスポットを当てて調査研究をまとめた。 ・その結果、積極的に単身居住を選択する居住者の生活像が浮き彫りにされた。
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