研究課題
今年度は、前年度に引きつづきHEBミクサー素子の開発、およびそれを搭載した受信機の評価・改良を継続して行った。また、本格的なテラヘルツ帯の観測に対応するため、可搬型18cmサブミリ波望遠鏡駆動系を改善し、指向精度の向上を図った。■Hot Electron Bolometer(HEB)ミクサー素子の開発Nb超伝導体を用いた0.8THz帯,1.47THz帯HEBミクサー素子の開発を行っている。今年度は、本郷の実験室に新たに納入した製膜装置を立ち上げ、描画条件と製膜条件を最適化した結果、より良好な冷却I-V(電流-電圧)特性を有するHEB素子を高い歩留まりで制作する事が可能となった。また、描画ソフトウェアを改善することにより、操作する人間の負担を大幅に軽減することができた。■HEB受信機の評価・改良HEBミキサー素子を搭載する機械式冷却受信機デュワーを開発し、その性能評価および改良を行っている。現在、ミクサーマウント+ホーンを含む、受信機デュワー内コンポーネントの配置は全ての完了し、HEBミクサー素子を搭載した状態での最終調整段階に入っている。冷却性能および温度安定性のさらなる向上を図りつつ、0.8THz局部発信(LO)信号の導入およびRF信号との混合試験を行い光学系の最適化を行っている。■18cmサブミリ波望遠鏡駆動系の改善テラヘルツ帯の観測に対応するため、可搬型18cmサブミリ波望遠鏡駆動系の改造を行い、望遠鏡の指向精度の向上を図った。駆動モータは、旧システムに比べて絶対位置決め精度が3倍以上高い物を選定した。また低温環境下での運用において頻発するAz軸駆動エラーを軽減するため、Az軸駆動モータの取付部分にギアの歪みを吸収しつつ同時にバックラッシュを抑える機構を装備した。
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The Astrophysical Journal 624(印刷中)
American Astronomical Society Meeting 204
ページ: 6105