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2002 年度 実績報告書

ナノスケール分子磁性体における新しいスピン量子効果の核磁気共鳴法による研究

研究課題

研究課題/領域番号 14702009
研究機関北海道大学

研究代表者

古川 裕次  北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50280863)

キーワードナノスケール分子磁性体 / スピン・トンネル効果 / 核磁気共鳴
研究概要

本研究の目的は、^3He-^4He希釈冷凍機を用いて極低温での核磁気共鳴(NMR)実験を行うことによりMn12クラスター(Mn_<12>O_<12>(CH_3COO)_<16>(H_2O)_4)やFe8クラスター([Fe_8(N_3C_6H_<15>)_6O_2(OH)_<12>])などで代表される巨大磁気モーメント(S=10)を有する分子磁性体において発現する新しい量子現象であるスピン・トンネル効果の発現機構を解明することである。本研究目的を遂行するために、本年度(研究期間の初年度)に^3He-^4He希釈冷凍機を購入し、現在、極低温でのNMR実験を行う準備を急ピッチで進めている。また、これと同時に、Mn12やFe8クラスターの磁気的性質を微視的に調べるために、1.5Kの低温でのNMR測定を行ってきた。その結果の主なものを以下に記す。
Mn12クラスター:磁気サイトであるMn核のNMRを行う事により、基底状態S=10でのMn12クラスターの内部磁気構造がフェリ磁性的スピン構造を有することが微視的に明らかとなった。さらに、クラスターの磁化容易軸に垂直な外部磁場(横磁場)を印加した場合は、クラスターの持つスピン(磁化)がS=10という量子状態を保ったままキャントしていることを明らかにした。
Fe8クラスター:クラスターの磁化容易軸に垂直な横磁場下でプロトン核の核スピン格子緩和時間(T_1)の磁場依存性を測定した結果、磁化容易軸に平行に磁場を印加した場合に見られた1/T_1が単調に減少を示すという振る舞いとは大きく異なり、横磁場印加に伴い1/T_1が急激に増大を示すことを見出した。さらに、この1/T_1の増大がFe8クラスターでのスピン量子トンネル現象に起因する事を明らかにし、このクラスターにおけるスピン量子トンネル現象をNMR-T_1の測定により初めて検出することに成功した。
以上の結果を論文として纏めて報告した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Y.Furukawa (他, 5名): "Tunneling splitting of the magnetic levels in Fe8 detected by ^1H NMR cross relaxation"Journal of Applied Physics. (印刷中). (2003)

  • [文献書誌] Y.Furukawa (他, 6名): "Internal magnetic structure and spin dynamics in transverse field of the molecular nanomagnet Mn12-acetate studied by ^<55>Mn-NMR"Physical Review B. (印刷中). (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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