近赤外カメラを用いた惑星待機のイメージング観測により、可視光観測とは違った惑星待機環境の情報を得ることができる。本研究では、惑星大気観測に有効な1-5μm帯に感度をもつ近赤外イメージングカメラを新たに開発し、金星大気の近赤外放射観測を行うことで、金星大気ダイナミクスの解明を進めることを目的とする。本年度は、観測対象となる金星大気の近赤外放射強度や望遠鏡などの機器性能、シーイングなどの観測条件などから感度を見積もり、カメラの工学設計を行った。この結果、カメラはコールドストップ光学系に干渉フィルターを用いた2倍拡大コリメータ形式に決定した。これには、パソコン(平成14年度設備備品)や光学設計ソフト(平成14年度消耗品)を用いた。次に、カメラの構造設計と熱設計を進めた。カメラはケースを縦約50cm、横約40cmの真空チャンバとし、内部に外部と熱を遮断するラディエーションシールドを設け、光学部分を100K、センサ部分を35Kまで冷却する設計とした。次に、もっとも重要な検出器(平成14年度消耗品)を購入した。さらに光学レンズのモデル品(平成14年度消耗品)を購入し、東北大学大学院理学研究科惑星プラズマ・大気研究センター内の設備に加え、He-Neまで冷却しても破損しないことがわかり、構造に問題がないことを確認した。この結果、光学レンズは100Kまで冷却しても破損しないことがわかり、構造に問題がないことを確認した。これらの実験には、実験補助を必要としたため、謝金を用いた。また、情報入手や国内外の研究者との交流をはかるため、海外・国内出張を行って研究打ち合わせを実施した。
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