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2002 年度 実績報告書

放射光励起STMによる原子分解能の元素・状態分析

研究課題

研究課題/領域番号 14702021
研究機関大阪大学

研究代表者

齋藤 彰  大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90294024)

キーワード走査型プローブ顕微鏡 / シンクロトロン放射 / 元素分析 / 硬X線 / アンジュレータ / 内殻励起 / トンネル電流
研究概要

本研究の目的は、特定波長の単色・超高輝度X線をSTM観察点に入射し、その像の変化をとらえることにより原子分解能で物質表面の状態・組成分析を行うことである。要点は、内殻励起で生じたフェルミ準位近傍の状態密度変化を、トンネル電流の強度変化としてとらえることである。これはSTM探針をコレクターにして放射光励起の放出電子を捉える手法とは根本的に異なり、STM像の差分を観測するものである。
上記の目的には工夫されたSTM装置を開発し、諸々の困難な条件を克服する必要があり、今年度はその開発をおこなった。まず、入射光輝度を上げて励起イヴェントを増やすため、SPring-8のアンジュレータビームライン(以下BLと略)に装置を設置した。次にビームを絞り(これは観測に不要な光を極力除去し、入射光による熱ドリフトを防ぐため)、超高真空(これはガスによる光電子増幅を防ぎ、また清浄試料を作成するため)で、探針-試料間の測定点に精度良くあわせこむ必要がある。このため、STMヘッド部に試料並進回転機構を組み込んだ超高真空対応STM装置を開発した。
これまでに、まずビームのない状態でSTMが機能することを確認し、次にBLにおいて光軸出しとその能率化(装置をBLに常駐できないので光軸作業が頻繁に必要なため)を行った。またビームを探針先端直下に精度数μmで合わせ込む手法(真空中、安定に、短時間で行うノウハウ)を確立した。さらにSTM観察をBLで行うにはハッチ内外からのさまざまなノイズ(振動、音響、電気)の低減が必要であり、そのための装置整備および立ち上げを順次おこなった。この際ビーム照射下でPZTなど周辺部の照射損傷がないことも確認した。現在Si(111)7x7清浄面について、アンジュレータBLでもビームを絞ることで、光電子、熱ドリフトなどの影響を効果的に低減できること、像が取得できること、が確認されている。

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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