本研究の目的は、一分子のDNAのゲノム情報としてGC含有量の1次元分布を光の回折限界を超えた分解能で得る光計測法を開発し、一分子DNAのゲノム情報解析法を確立することである。本年度は、以下の内容について実験および解析を行った。 実験パラメータの最適化:フィードバック制御の条件最適化により金粒子の位置安定性を向上させ、S/N比が最も良くなる走査速度と蛍光励起用レーザー光強度について調べた。 Ramanスペクトルの計測:Ramanスペクトルを測定してG/CとA/Tのそれぞれに特異なラマン散乱について調べた。さらに金粒子による表面増強ラマン散乱を利用して、ラマン散乱強度の比からGC含有量の1次元分布計測を試みた。スペクトル計測には分光器とイメージインテンシファイア付きCCDカメラを用いた。 微粒子中のプラズモン共鳴の利用:金粒子および銀粒子を用いて粒子中のプラズモン共鳴状態について調べる実験を行った。プラズモン共鳴による非線形光学効果の増強について調べ、非線形光学効果を用いた近接場光学顕微鏡として高分解能化を図る実験を行った。銀粒子および金粒子からの第二次高調波発生を確認した。 フローセルの試作:粒子を結合させたDNA分子を流すフローセルを作製し、フローセル中でのレーザートラップ実験を行った。現時点では、DNAを結合させたものをトラップするまでには至っていない。来年度の課題である。
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