研究概要 |
本研究では,マイクロ蒸気機関を用いた発電出力1〜30Wのモバイル・エネルギー源の開発を通じて,超小型発電システムに適したエネルギー変換原理の検討,各要素の最適設計,システムとしての評価を行い,将来実用に供されるモバイル発電システムに対して,具体的な指針を得ることを目的としている.本年度は,初年度として,以下の2つの要素技術を重点に研究を進めた. 1)振動型エレクトレット発電器 回転部分を持たない振動型のエレクトレット発電器について,モデルを構築し,電極の間隔,電荷密度,振動周波数などが出力に与える影響について調べ,高電圧型の発電器が構成可能であることを明らかにした.また,高分子ポリマーをエレクトレット材料として用い,回転型の発電器を試作してモデルの検証を行った.さらに,大変形可能な高アスペクト比ポリマー構造のためのMEMS技術を新たに開発し,柔軟かつロバストなバネ要素が製作できることを示した. 2)マイクロ触媒燃焼器の開発 白金-アルミナ触媒を用いたブタンの触媒燃焼について,内径0.6mmの極細管を用いて特性評価を行った.陽極酸化による多孔質アルミナを用いることによって,250℃で燃焼が開始し,400℃で250MW/m^3の発熱密度が得られることを示した.これをもとに,マイクロマシン技術によるマイクロ燃焼器のための製作プロセスを確立し,プロトタイプを試作した.
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