研究概要 |
今年度は,1)高機能かつ高精度なせん断-透水同時実験装置の改良,2)改良した実験装置を用いた実験手法の確立,3)せん断-透水同時特性評価技術確立のためのシミュレーション手法の開発,4)実際の現場への評価技術の適用と実用化という4つのの目的のうち以下の点について研究を行い次のような成果を得た。 1)せん断-透水同時実験装置の改良 昨年度,深部岩盤中の水の流れを再現するような高水圧かつ低動水勾配下での同時実験が可能なせん断-透水同時実験装置の設計・開発を行ったが,せん断中に透水係数は10^<-3>〜10^2cm/secまでの幅で大きく変動するが,特に低い透水性を示す場合にその精度を保証できないこと、透水装置に空気圧による透水加圧装置を付属させ,高水圧条件下および任意の動水勾配条件下での透水試験が可能となったが,装置が複雑になるため管路における摩擦損失の影響が大きくなること等の問題点が残された。そのため,これらの問題点を解決するとともに,試験装置の性能確認試験を実施した。その結果,高精度での透水性の把握が可能となるとともに,実験装置の性能として,所定の要件を満足するような装置を開発することができ,その試験方法を確立することができた。 2)せん断-透水同時実験と不連続面の間隙幅の評価技術の開発 開発した装置を用いて,基礎的な不連続面のせん断-透水同時実験を行い.不連続面のせん断-透水同時特性について評価した。さらに,せん断-透水挙動をモデル化するための基礎データとして用いる不連続面の間隙幅の評価技術について検討した。不連続面の透水性は間隙幅に支配されるが,その評価技術は,不連続面内の間隙幅分布を無視した単なる2次元断面のモデルしか存在しない。そのため,不連続面表面をレーザー変位計で高精度に計測し,このデータと実験結果から,不連続面の初期間隙幅を特定する方法を開発し,不連続面の間隙幅を分布特性として把握する方法を開発した。
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