汚濁流出に影響を与えると考えられる要因について灌漑期に調査を行った。その結果かから灌漑方式と灌漑用水の水質の与える影響、イベント時の水管理が与える影響、無施肥区との比較による施肥の影響について分析を行った。 まず、棚田などに見られる用排水兼用型の水田と、平地に存在する用排水分離型の水田との違いについては、用排水兼用型では、下部域水田への配水を考えて、取水量が多くなることが分かった。それに伴って排水が希釈されるために、用排水分離型に比べて水質がよかった。一方、用排水分離型では、取水制御がしやすいため、用排水兼用型の水田に比べて、流出水量を抑えることができる。 灌漑期のイベント時における水管理のよくできている水田とできていない水田の違いについては、水管理のよくできていない水田では、水管理がよくできている水田の、15倍以上もの負荷量差が見られた。このことから、水管理が汚濁負荷流出に、大きな影響を与えることが分かった。 無施肥地区の影響については、2002年度が無施肥水田が設けられた初年度にあたるため同じ流域の別水田との顕著な違いを見てとることができなかった。 これらの影響因調査の結果から、汚濁流出特性を考慮した水田からの汚濁負荷算定モデルの構築を行い、鳥取市南部の湖山池流域の一流入河川である良田川流域への適用を試みた。その結果、ネットワークモデルの中で水管理を考慮したため、各圃場に取水量の違いが生じ、流出量の多い水田と、流出量の少ない水田を評価することができた。また、流域への適用を試みた結果、T-N、T-Pともに、実測地に近い値を示した。しかし、施肥流出を過大評価するなど、イベント用のモジュールが必要ではないかと考えられた。
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