研究概要 |
(1)Revised-AUSSSMによる大規模数値実験 世界各邦におけるヒートアイランド要因効果の推定し資するデータを作成するため,接地層上端の温度,比湿,風速,日射条件等を日平均温度,振幅,緯度などの特徴項目に分解し,これに従来の都市計画的,建築計画的,設備計画的要因を加えた因子水準を設定した.3次交互作用まで考慮した直交実験により,大規模な数値実験を行い,都市高温化に影響する要因効果を定量的に明らかにした. (2)多目的意志決定法MCDMの適用に関する事例的検討 都市高温化に影響する因子が定量的に明らかになった次段で重要となるのが,費用対効果などを総合的に加味してどの対策から行っていくかを多様な局面で意志決定することである.申請者は過去に多項目評価を総合化するフレームとしてMCDM, Multi Criteria Decision Making Methodを構築し,その支援ツールMCDM-23を開発してきた経緯がある.本サブテーマでは,このMCDMを住宅購入の代替案選択問題に適用し事例検討を行った.設定された問題では,省エネルギー性,環境性,コスト,デザイン,意匠性,機能性などを総合的に勘案して購入する住宅を意志決定する場面を想定し,主として建築を専門にする学生,研究者を対象に一連の被験者実験を行った.MCDMのフレーム中で,評価を階層状に構成するCriteriaとSub-criteriaが定義されており,この間の重みを何らかの方法で決定しなければならない.具体的手続きとして応用数理工学理論を適用したAHP, Analytic Hierarchy ProcessとGrading Processがあるが,この両者により同定される重みが有意に異なり,前者では項目間の重みにより大きな差異が表れやすいことが明らかになった.この点を踏まえることで,構築したMCDMを高温化対策の施術priority意志決定に適用する素地が出来た.
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