研究概要 |
本研究では溶接・接合部の設計における意思決定の流れを総合的にマネジメントすることが可能な「統合ジョイント設計支援システム」について検討する.具体的には,「良い溶接・接合部を設計する」という問題を「溶接・接合部の複数案の中から一番良い案を選択する」という問題に置き換える.そして,設計・生産の流れの中で,溶接・接合部の設計案を提案し,利用者が選定する評価項目にしたがって,設計案から番良い案を選定することを可能にするシステムのプロトタイプを開発することを目的とする. 初年度である本年度は,システム全体に大きな影響を与える以下の項目について検討した. (1)溶接接合設計における意思決定フローの明確化 溶接・接合設計の専門化へのアンケート調査に基づき,溶接・接合設計において意思決定すべき情報と,意思決定する際に評価・検討すべき情報を整理した.さらに,DSM (Design Structure Matrix)を利用して,溶接・接合設計の意思決定フローを明確化した. (2)プロセス記述のためのフレームワークの定義 特定の製品や企業に特化して設計プロセスを決定すると,設計の自由度を低減してしまう.そこで,設計・生産部門の実状に合わせて,設計・評価の流れを自由に定義するためのフレームワークを定義した.具体的には,入力情報,制御情報,情報処理機能および出力情報によって構成されるコンポーネントを,システムにおける情報処理の基本単位と捉え,コンポーネントの組み合わせによる設計プロセスの記述手法を提案した.
|