研究概要 |
高精度の深部地圧計測法の開発を目的として,深度1000m以上のボーリング孔に適用できる下向き円錐孔底ひずみ法の実用化に向けた研究を行った.当該研究期間に得られた研究成果をまとめると以下のようである. 1.1000m以深においてボアホール孔底を所定の形状に加工することにできる特殊円錐形状ビットを設計・製作した。また,開発した特殊ビットを用いた実験室による硬岩ブロック掘削実験を実施し,その性能を評価した。 2.昨年度課題となっていたオーバーコアリング技術の開発については,PQサイズのワイヤーライン工法を採用することで可能となるとの結論を得た。 3.開発した小型データロガーの性能試験を実施し,本装置が,1000m以深の水没したボアホール孔内においても問題なく作動することを確認した。 4.小型ビデオカメラとコンパスから構成される簡易方位傾斜測定装置を開発した。ただし,本装置は,鋼製のアウターチューブ内では,コンパスが影響を受ける場合のあることも確認された。 5.開発した全ての装置を用いた現場性能試験を実施した。具体的には,建設中の地下発電所坑道内における浅部ボアホールを用いて,孔底の加工実験,ストレインセルの孔底貼付実験,オーバーコアリング実施実験,データの取得実験等,提案した一連の測定手順に基づく地圧測定試験を実施した。本試験により,開発した地圧測定装置および測定手順はほぼ実用上問題はないことが確認された。しかし,分離機構,傾斜方位測定装置、測定精度に改善の余地のあることが確認された。
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