研究概要 |
1,MRI用実時間臓器移動計測法の開発 本研究ではMRI誘導手術において治療対象となる体内臓器の位置をリアルタイムに検出し,術前画像のレジストレーションを行いって術者に提示することができる工学的基盤の構築を行う.具体的には,1.射影プロファイルマッチングを用いた,2次元臓器トラッキング法の開発する.2.臨床用MRI装置で,トラッキングに必要な情報をリアルタイムに取り出すためのシステムを構築する.3.肝臓を対象に,ボランティアや臨床における評価を行った. 基礎実験として2.0T実験用MRI装置に「射影プロファイルマッチング」を実装し,磁石のボア内で動くファントムの撮像を行った。ファントムの動きは,CCDレーザー変位計やも計測を行い,射影プロファイルマッチングの精度を検証した.その結果,撮像視野100mmに対して0.4mm以内の誤差であった.計測の周期は160ms,また一回のマッチングに要した計算時間は32msであった. 2.MRI誘導手術のためのナビゲーションソフトウェウアの開発 MRI誘導下マイクロ波凝固治療において,穿刺位置の決定のための既治療領域・未治療領域の正確な位置関係を術者に提示するため,既治療領域の3次元記録を行う手術支援ソフトウェアの開発を行った. 本研究では凝固した部位を3次元的に記録するソフトウェア"Footprint"を開発し,手術ナビゲーションソフトウェア「3D Slicer」に統合した.このソフトウェアによって,術前・術中のMRI画像の仮想空間上に,術前に作成した腫瘍モデルや穿刺針を重ね合わせて術者に提示することができ,未治療の腫瘍の位置を正確に把握できる.また,画像には光学式3次元トラッキングによって10Hz程度の頻度で計測される穿刺針も表示できるので,術者は術野近くに設置されたディスプレイを見ながらインタラクティブに次の穿刺位置を決定することができる. このソフトウェアは,2002年より滋賀医科大学病院にて手術システムに採用され,MRI誘導下肝腫瘍マイクロ波凝固治療の臨床で使用を開始し,有用性が確認された。
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