研究概要 |
本研究では術中画像撮影下における新しい手術支援システムとして、Image Fusionによる体外・体内の状況を同時に観察(透視)可能とする表示システム及び,画像のもつ位置情報に基づき術具を患部へと誘導するMRI対応ロボットの開発研究を目的としている.本年度は,(1)MRI下治療に用いるための断層画像表示システムのプロトタイプ開発および,(2)MRI環境下で駆動する術者誘導ロボットの直動アクチュエータ部の開発を行い,特に後者のMRI対応性について検討した.(1)現在実施されているオープンMRI下手術に対応した断層画像表示装置を開発した.光学式位置センサにより患者・装置の位置対応をさせ,ハーフミラーを用いることにより,患者の正しい位置に正しい大きさの映像をオーバーラップさせることを可能とした.使用者の視覚能力により精度が異なり,表示位置の補正を行うことにより,±2mmの精度で画像を表示させることが可能である.次に,オープンMRI内部にて画像提示可能な装置を開発するため,光ファイバによる画像転送装置を試作した.直径0.5mmの光ファイバを256本束ね16x16pixelsの大きさのモニタを試作したが,作成コスト・解像度の問題があるため,より効率的な手法の検討を行う.(2)オープンMRI下での穿刺針刺入治療支援を目的とした手術ロボットに使用する,特に精度を高めた小型直動アクチュエータの試作を行った.送りネジを用いた直動機構でありストロークは80mm,繰り返し精度は0.08mm,バックラッシは0.03mmの精度が得られた.駆動部分は超音波モータおよび手動のノブを取替え可能とし,手動・自動を選択可能とした.またMRI内への設置による画像への影響を水ファントム撮影により計測したが,歪は観察されず画像のS/N比にも影響を与えなかった.今後は残りの自由度の開発を行う.
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