研究概要 |
本研究では,手術中にMRI画像を撮影し患者患部の状況をUpdateしながら行う治療を支援する新しい手術支援システムとして,主に画像を中心とした情報統合による体外・体内の状況を同時に観察(透視)可能とする表示システム及び,画像のもつ位置情報に基づき術具を患部へと誘導するMRI対応ロボットの開発研究を目的としている.本年度は,(1)MRIガントリ内で断層画像を表示するシステムの試作および,(2)MRI環境下で駆動する術者誘導ロボットの開発を行い,双方において評価実験を実施した.具体的には,(1-1)現在実施されているオープンMRI下手術に対応した断層画像表示装置の改良を行い,本年度は具体的な臨床応用に必要なコンテンツの充実を行った.(1-2)オープンMRI内部にて画像提示可能な装置を,非磁性フレーム,ミラー,ハーフミラーおよび液晶プロジェクタの光学系を用いることで実現させ,基礎評価実験を行った.本装置によりMRIガントリ内部に断層画像を表示することが可能となり,断層像の中心部では平面度誤差1mmで表示できたが,端部では反りによる歪があり今後改良を行う.また,システム完成のため今後はメーカーとの協力によりオープンMRIとの連携を行う.(2)オープンMRI下での穿刺針刺入治療支援を目的とした2自由度の手術ロボットを開発した.MRI内への設置による画像への影響を水ファントム撮影により計測したが,大きな歪は観察されず画像のS/N比にも影響を与えなかった.次年度は最終年度として,MRI画像撮影環境下において透視画像下の元にロボットを連動させて動かす統合システムを構築し,ファントム等による評価実験を行い,臨床における有用性を検討し最終年度としてまとめる。
|