研究概要 |
本年度は,メソポーラス酸化スズ(c-SnO_2)の熱安定性の付与とセンサ材料としての最適化を中心に検討した。 1.m-SnO_2の調製とセンサ特性 鋳型としてセチルピリジニウムクロリド(C_<16>PyCl)の水中における自己集合体を,Sn源としてスズ酸ナトリウム(Na_2SnO_3)を用いることにより六方晶系メソポーラスSnO_2-C_<16>PyCl複合体を得た。その複合体をリン酸処理することにより,600℃で焼成しても直径が約2nmの規則性メソ細孔が維持されることがわかった。なお,この材料を用いて作製した半導体ガスセンサは,一般的なSnO_2(c-SnO_2)に比べてH_2感度が著しく高いうえ,ガス応答も比較的速いことが確認できた。ただし,抵抗が非常に高く実用化しづらいこともわかった。 2.m-SnO_2のセンサ材料としての最適化 センサ素子の低抵抗化を図りつつ,m-SnO_2そのもののガス検知特性を生かすために,c-SnO_2へm-SnO_2を表面修飾した。その結果,修飾処理を3回行ったm-SnO_2(3)/c-SnO_2は,特にNO_xに対して高感度なうえNO感度とNO_2感度がほぼ等しいことから,トータルNO_xセンサとして利用できる可能性があることがわかった。 3.m-SnO_2の細孔径の制御 界面活性剤としてC_<16>PyClの替わりにブロックコポリマーを利用してm-SnO_2を作製した結果,細孔径が約3-5nmへ拡大した。さらに,それらを用いて作製したセンサは,細孔径の小さいm-SnO_2を用いたセンサに比べ,比表面積が小さい割には比較的高いセンサ特性を有することを明らかにした。 4.m-TiO_2の調製 ポリエチレングリコールを鋳型としてm-TiO_2を作製した。その結果,規則性はほとんど見られないものの,直径が約4nm,比表面積が60-200m^2g^<-1>程度のが得られた。さらに,Nbをドープすることにより,抵抗値を大幅に低下させることができ,センサ材料として利用可能となることを明らかにした。
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