研究概要 |
本年度は,ガスセンサ材料としてメソポーラス酸化スズ(c-SnO_2)の最適化を施すとともに,リチウム2次電池や電気化学キャパシタ材料への応用を試みた。 1.m-SnO_2の調製とセンサ特性鋳型としてセチルピリジニウムクロリド(C_<16>PyCl)の水中での自己集合体を,Sn源としてスズ酸ナトリウム(Na_2SnO_3)を用いて,m-SnO_2を,ZnOあるいはIn_2O_3粉末に表面修飾した。その結果,H_2に対しては表面修飾効果がほとんどみられないものの,NOx(NO,NO_2)に対しては,大幅にセンサ特性を改良されることが分かった。ただし,ガス応答速度はきわめて速いものの,回復速度が大幅に遅くなったことから,センサ表面に吸着したガスの脱離挙動や大気中の酸素の再吸着過程を明らかにし,それらの特性の改良をほどこす必要があることが分かった。 2.m-SnO_2のリチウム2次電池用負極材料への応用m-SnO_2にリン酸処理や還元処理をほどこすことにより,m-SnO_2を用いたリチウム電池負極のサイクル特性が改善された。たとえば,未処理m-SnO_2の初期容量は1843mAh g^<-1>と非常に大きいが,10サイクル目は264mAhg^<-1>と小さくなったのに対して,還元処理を施すことにより,初期容量が1800mAh g^<-1>と非常に大きく,10サイクル目の放電容量も423mAh g^<-1>と容量の低下が抑えられることが分かった。 3.m-SnO_2の電気化学キャパシタ材料への応用m-SnO_2に還元処理を施したりSbをドープしたりすることにより,m-SnO_2を用いた解キャパシタ用電極の容量が改善された。また,アセチレンブラックをm-SnO_2粉末中に分散させることにより,大幅に容量が増加した。これらは,電極材料の導電性が向上しだことが主な原因と考えられる。
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