研究概要 |
本年度は、散逸過程により形成するフォトニッタ結晶を利用した新規光→化学エネルギー変換構造体の作製とその光学特性評価を行った。構造体としては、薄い濡れ膜内で起きる散逸流れ(移流)を利用して微粒子を周期的に配列した微粒子アレイを中心として扱っている。この微粒子アレイは、固体・液体・気体の三界面の間にできるメニスカスを利用して作製するため、これまで固体基板上にしか存在できなかった。しかしながら、アレイ自身の光学特性評価を考えるにあたって、固体基板上のみに存在するのは不利であった。そこで本年度は基板がない状態でも存在できるフリースタンディングな微粒子アレイを、微粒子同士の融着を利用して作製し、その光学特性を評価した。更に、熱硬化性樹脂を利用して折り曲げ可能なフレキシブル微粒子アレイを作製し、微粒子アレイの光学素子としての応用を広げた。それぞれの成果は2002 Materials Research Society Spring Meeting (San Francisco, USA)およびKorea-Japan Joint Forum 2002(仙台)の国際会議で発表するとともに、日本化学会・高分子化学会などの国内会議でも発表を行った。 本研究の目的である熱輻射(赤外線波長領域)の制御には、微粒子(可視光領域)よりも大きなマイクロエマルジョンの周期構造体も有効である。本年度は、より複雑な機能を持たせるために、マイクロエマルジョンの周期構造体に微粒子の周期構造体を組み込むことを試みた。この通称"ハニビーズ"と呼ばれる材料は散逸過程において形成されることを確認した。この成果はMaterials Research Society 2002 Fall Meeting (Boston, USA)の国際会議および日本化学会で発表した。
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