研究概要 |
分散エネルギー源の解決や可搬型高密度エネルギー源を視野に入れた小型ロータリー機関の研究を進めている.当初予定では実験機材を早期に納入し本年度に運転段階に至る予定であったが,一般的な例の無い低トルク高回転域を想定した実験装置の構築およびテスト運転に予想外の困難が生じたため現在テスト運転の段階である.しかしながら,手のひらに乗るサイズのロータリーエンジンを低回転においては安定動作させるシステムの構築が出来ており順次予定の試験を行う予定である.克服すべき問題点は,高エネルギー密度を成立させるための高回転時の強度や振動対策と,小型システム特有の低トルクのため計測精度の低下がある.すでに行われた大幅な設計変更により改善される予定である. また,併行して行われている数値シミュレーションモデルにおいては,着火時期の制御や熱効率に着目したシステムの最適化が進められた.高熱効率を期待される希薄燃焼域において,吸気温度の上昇が必ずしも機関の運転に優位に働くわけではないことを確認し,適正な運転を行うための必要なパラメータを抽出した.これにより,熱発生率の時間変化から着火時期の最適化が可能である.また,今後引き続きモデルの構築を進め,排気特性の調査や着火過程の高精度な分析を進める予定である.
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