節足動物中枢神経系における行動制御機構に関わる一酸化窒素の役割

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14704004
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 青沼 仁志 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (20333643)
• キーワード: 神経行動学 / 節足動物 / 行動切り換え / 神経伝達機構 / 一酸化窒素 / cGMP

研究概要

「動物は状況に応じた行動の切り換えをどのような神経機構で行うか」を解明するのが本研究の目的である。行動を切り換える際、中枢神経系では神経の可塑的な変化が起きていると考え、一酸化窒素が行動の切り換えに重要な役割を担っているという仮説をたてた。節足動物、特にザリガニやコオロギを実験材料に選び、同定可能な神経回路網において一酸化窒素がどの様な修飾効果をもつか詳細に解析することで仮説を確かめている。
1.一酸化窒素産生細胞はanti-uNOS免疫染色法と、NADPH-diaphorase組織化学染色法で特定した。標的細胞は一酸化窒素供与剤により誘導されたcGMPをanti-cGMP抗体を使い免疫染色法で染色し特定した。2.個々の細胞を同定するため、備品購入したIR-dic顕微鏡を利用して、Anti-cGMP抗体陽性の細胞をルシファーイエローで細胞内染色し、抗体染色法蛍光標識した細胞を、共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察し中枢神経系の神経地図を作成している。3.現在、共焦点レーザー顕微鏡を用いて、一酸化窒素産生細胞が実際に一酸化窒素を放出するか、一酸化窒素感受性色素(DAF-2DA)を使って光学的な方法で解析を進め、4.一酸化窒素産生細胞と標的細胞の両方から活動を細胞内記録しながら、一酸化窒素やcGMPの合成を促進或いは抑制する薬物を灌流投与し、一酸化窒素の修飾効果を電気生理学的方法で解析を進めている。
これまでの成果は国際シンポジウム及び国内学会で発表し、また、その一部は国際学会誌等に論文として発表した。

研究成果

• [文献書誌] Sadamoto, H: "CREB in the Pond Snail Lymnaea stagnalis -Cloning, Gene Expression and Function in Identifiable Neurons of the Central Nervous System-"J.Neurobiol.. 58:(4). 455-466 (2004)
• [文献書誌] Schuppe, H.: "Effects of Nitric Oxide on Proprioceptive Signaling."Zoolog.Sci.. 21(1). 1-5 (2004)
• [文献書誌] Aonuma, H.: "Nitric oxide regulates the levels of cGMP accumulation in the cricket brain."Act.Biol.Hung.. 55. 65-70 (2004)
• [文献書誌] Aonuma, H.: "Functional and behavioural aspects of NO/cGMP cascade in insects."in 16^<th> SICE Symposium on decentralized autonomous systems. 04SY0001. 41-46 (2004)
• [文献書誌] Asama, H.: "System principle on emergence of mobiligence -Alliance of biology and engineering-"in 16^<th> SICE Symposium on decentralized autonomous systems. 04SY0001. 1-4 (2004)