カイコESTクローンよりdsRNAを合成し、RNAi誘導培養細胞におけるHR活性測定系を用いて、HRに関わる遺伝子のスクリーニングを行なった。その結果、発現抑制によりHR活性が低下する新規遺伝子二種とHR活性が上昇する新規遺伝子一種を同定した。現在、これらの遺伝子の詳細な機能解析を行なうと共に、当該遺伝子のノックダウンカイコ個体作成の為のベクター構築を行なっている。 カイコ由来の2種のRecA相同タンパク質とRpa複合体を中心にDNA相同組換えの再構成系の確立を目的に、Rpa複合体を構成するRPA70とRPA30の発現系を構築した。この発現系を利用して、残るRPA14タンパク質をそのタンパク質相互作用に基づいて精製、解析している。 これまでに確立しているHR活性、NHEJ活性の測定系は染色体外で起こる現象であるため、ゲノム中に1コピーのみのレポーター系を組み込んだカイコ細胞を用いて、染色体上でのHR活性の測定系を確立した。これらの系を用いて、相同組換えにおいてRad51の上流で機能するMRE11とRAD50についてはRNAiによる遺伝子ノックダウンがHR活性、NHEJ活性に与える影響を解析した。また、ノックダウン細胞にDBS導入後の細胞周期のチェックポイント制御機構についても解析中である。 さらに、カイコの雌では減数分裂期相同組換えが起こらないことが知られているが、相同組換え系の選択に関わる可能性のあるMSH遺伝子群より二種のカイコホモログをクローニングし、さらに残り一種をクローニング中である。
|