研究概要 |
ニワトリ種卵を購入し、孵卵開始より3日までは12時間毎に胚を採取し、3日以降は7日まで頭部を、8日以降は下垂体原基を17日まで採取した。 採取した組織よりRNA抽出を行い逆転写反応後PCRによりPit-1,プロラクチン(PRL)及び成長ホルモン(GH)の発現開始時期を同定した。Pit-1の遺伝子発現は個体により2日において検出されたもの、3日において検出されたものと違いが認められ、発生ステージの違いが存在するため、ステージにより検討したところ発生胚が卵黄上で左に回転するステージ13より14(ハンバーガーハミルトンの発生ステージ)においてPit-1遺伝子の発現が開始することが示された。胚発生初期においてはPit-1mRNAアイソフォーム(Pit-1γ)の発現は認められず、13日以降のステージにおいて発現が開始する事が示された。またGHは胚発生の6日より、PRLは胚発生8日より発現が開始することが明らかになった。 Pit-1アンチセンスオリゴヌクレオチド投与がGH及びPRLの遺伝子発現におよぼす影響を成鶏及び発生後期の下垂体細胞培養により検討したところ、Pit-1アンチセンスオリゴヌクレオチドによりPit-1、GH、PRLすべて遺伝子発現が減少することが示され、センスオリゴヌクレオチドでは変化は認められなかったことからPit-1は自身を、GH、PRLはともにPit-1により転写制御調節が行われている事が明らかになった。発生初期胚(3日)の卵白中にアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与した場合は5日及び7日胚における遺伝子発現にはセンスオリゴヌクレオチドを投与したコントロール群とPit-1及びGHの発現量の差が認められなかった。濃厚卵白がアンチセンスヌクレオチドの発生胚への到達を阻害していると考えられ、ニワトリキメラ作成の方法を応用して検討することが今後の課題である。
|