キジ目以外の家禽の代表であるアヒルの成長ホルモン(GH)の転写制御領域を含む全DNA配列(5.25kb)、プロラクチン(PRL)のcDNA(1.45kb)及び全DNA配列(6.3kb)を決定した。アヒルGHのプロモーター領域(0.9kb)は、翻訳開始点より上流0.3kbまではキジ目GHと相同性が高いが、それ以外の領域には相同性は認めらず、翻訳開始点より上流0.3kbまでの領域が鳥類におけるGH遺伝子発現共通機構に関与すると考えられた。またPRLに関しては翻訳開始点より上流230塩基のクロ-ニングに成功したが、キジ目のPRLプロモーターと非常に高い相同性を示し、共通機構がPRLに関しても存在する可能性が考えられた。 さらにPCR-SSCPによるアヒルGHのプロモーター領域の多型解析を行い、4個所に変異が認められる事を明らかにした。さらにイントロン3にも多型配列が存在する事も明らかにした。イントロン1にはアヒルintersperse repeat like DNA配列に非常に高い相同性を示す領域が存在し、マスコビダック、カルガモ、ガチョウにおいても保存されている事が明らかになった。本研究で検出した多型配列及び特徴的配列はガンカモ科の鳥類の研究を進める上での有用なマーカーと言える。 GHとPRLの初期遺伝子活性化に関与すると考えられている転写因子Pit-1のcDNAクローニングを行い、アイソフォームの発現がニワトリやシチメンチョウと同様にアヒルにおいても認められる事を明らかにした。様々な鳥類のイントロン1領域のクローニングを試みた結果、オオタカにおいてはアイソフォームが存在しても機能的には何の影響も示さない事を配列より明らかにした。
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