研究概要 |
マウスのTr,Th1,Th2細胞は、DO11.10脾細胞をrIL-2,rIL-10,OVA323-339ペプチド刺激により、Do11.10脾臓CD 45RB+細胞をrIL-2,rIL-12,anti-IL-4mAb,OVA323-339ペプチド誘導により、DO11.10脾臓CD45RB+細胞をrIL-2,rIL-4,anti-IL-12mAb,OVA323-339ペプチド誘導によりそれぞれ作製した。またヒトTr,Th1,Th2細胞は、末梢血リンパ球のrIL-2,TGF-βとSEB刺激により、末梢血リンパ球CD45RA+細胞のrIL-2,rIL-12,anti-4mAb、SEB誘導により、末梢血リンパ球CD45RA+細胞のrIL-2,rIL-4,anti-12mAb、サリドマイド、PHA誘導によりそれぞれ作製した。作製されたマウスTr細胞cDNAからマウスTh1+Th2細胞cDNAをcDNAサブトラクションにより除き、クローニングした後DNAシークエンスを行った。同様にヒトTr細胞cDNAからヒトTh1+Th2細胞cDNAをcDNAサブトラクション法により除き、クローニング後DNAシークエンスを行った。結果、マウスTr細胞特異的またはTr細胞優位に発現している分子32個を見出した。その中で、細胞膜ドメインを持つと思われる分子を解析ソフトを用いて予測し、4個の未報告分子を同定した。同様にヒト、Tr細胞特異的またはTr細胞優位に発現している分子を、サブトラクション法より得られた分子のシークエンスにより51個同定した。その中で、細胞膜ドメインを持つと思われる分子をマウス研究で用いた同様の方法で解析し、6個の未報告分子を同定した。現在マウスTr細胞表面マーカー候補4分子とヒトTr細胞表面マーカー候補6分子の計10分子の全長cDNAを取得し、in vitro translation法によるタンパク質の分取を行っている。 ヒトおよびマウスTr細胞表面候補タンパク質が得られれば、それをラットまたはマウスにそれぞれ免疫し、免疫動物脾細胞とミエローマとの融合により、Tr細胞表面候補タンパク質特異的mAbの取得を目指す。またTr細胞表面候補タンパク質を鋳型として、それに特異的なRNA又はDNAアプタマー作製する。最終的には作製された抗体またはアプタマーによるTr細胞除去実験を行う。メラノーマ細胞移植動物にTr細胞表面特異的抗体またはアプタマーを投与し、その後の抗腫瘍免疫応答とがんの動態について詳細な検討を行い、近未来的なメラノーマ免疫治療法の開発の基盤を築く。
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