• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2003 年度 実績報告書

唾液腺由来腺癌に対する複合的遺伝子治療の基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 14704049
研究機関広島大学

研究代表者

張 雁  広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (50332797)

キーワード唾液腺 / 分化 / 遺伝子治療 / 腺癌 / FGF受容体
研究概要

前年度研究の続き、野生型KGFR遺伝子および可溶化型Tie2-Fc遺伝子を唾液腺癌細胞HSYに導入し、HSY_<KGFR-Tie2>細胞における遺伝子および蛋白発現の変動を解析した。
HSY_<KGFR-Tie2>細胞にPARPの断片化が認められ、また、ミトコンドリアを介する経路で重要なステップとなるBcl-2の発現低下、Baxの発現上昇を認めた。また、KGFR-Tie2遺伝子導入により、変動する遺伝子群を解析するため、cDNAマイクロアレイを行った。上昇する遺伝子にはp18,p27,Caspase-3,Caspase-8などを認め、低下した遺伝子にはMMP-1、-7、VEGFなどが含まれていた。また、デイファレンスゲル電気泳動法を用いた蛋白発現の差異の検討およびMALD1-TOFMAS法を用いた質量解析によるプロテオーム解析を行った。3000種類蛋白のうち、上昇した蛋白としてHsp70、Caspase-9などを同定した、一方、低下した蛋白としてはVimentin, Laminなどを同定した。また、HSY_<KGFR-Tie2>細胞をヌードマウス背部皮下に移植し、その造腫瘍能、分化能及び血管新生能について検討した結果、HSY_<KGFR-Tie2>細胞は造腫瘍性は低く、腫瘍の硝子化、核の断片化を認め、アポトーシスが誘導されていることが示唆された。血管新生関連因子の発現をin situ hybridizationにて検討した結果、VEGF-A,-Cの発現は著しく低下することを明らかにした。現在までにKGFR遺伝子を用いた癌の遺伝子治療の報告は全く無かった。口腔に発生する腫瘍は他臓器の腫瘍と異なり、直接視認、触診できることが多いので遺伝子の直接導入も簡単で、また治療効果の判定も非常容易である。またさらに有効な治療法が今まで無かった唾液腺癌の治療法として、KGFR遺伝子及びTie2-Fc遺伝子を用いた癌の遺伝子治療は非常に有望と考えられた。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Hua Wang, Yan Zhang, Tetsuji Okamoto: "Transformation of vascular endothelial cells by a point mutation in the Tie2 gene from human intramuscular haemangioma"Oncogene. (in press). (2004)

  • [文献書誌] 張雁, 谷亮治, 林堂安貴, 虎谷茂昭, 岡本哲治: "顎顔面疾患と遺伝子"広島歯科医学雑誌. 31. 1-10 (2004)

  • [文献書誌] 古江美保, 畑隆一郎, 張 雁, 岡本哲治, 浅島 誠: "アクチビンAによるラット唾液腺幹細胞RSMG-1の腺房細胞への分化誘導"口腔組織培養学会誌. 12(1). 61-62 (2004)

  • [文献書誌] 汪 華, 張 雁, 岡本哲治: "変異型Tie2遺伝子導入による血管腫モデルの作成"口腔組織培養学会誌. 12(1). 35-36 (2004)

  • [文献書誌] 北村直也, 張雁, 汪華, 岡本哲治: "野生型遺伝子導入による扁平上皮癌細胞の増殖制御"口腔組織培養学会誌. 12(1). 41-42 (2004)

  • [文献書誌] Makoto Ojika, Tomoaki Shintani, Yan Zhang, Tetsuji Okamoto: "Three new cytotoxic acylspermidines from the soft coral, Sinularia sp."Biosci.Biotechnol.Biochem. 67(6). 1410-1412 (2003)

  • [文献書誌] 汪 華, 張 雁, 岡本哲治: "ヒト唾液腺におけるアンジオポエチンとその受容体Tie2の機能解析"口腔組織培養学会誌. 11(1). 47-48 (2002)

  • [文献書誌] 岡本康正, 張 雁, 岡本哲治: "EGFRをターゲットとした扁平上皮癌の分子標的治療"口腔組織培養学会誌. 11(1). (2002)

URL: 

公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi