(1)イネのUVB感受性とCPD光回復酵素活性との相関について 日本・中国栽培イネ品種に加え、既にUVB感受性試験の終了している、インド、アメリカの栽培種を材料として、イネ品種間のUVB抵抗性、光回復酵素活性、およびその推定アミノ酸配列との関係について比較解析した。その結果、日本型イネ品種の光回復酵素の遺伝子型は2つに分けられ、遺伝子型により活性も異なることがわかった。さらに、遺伝子型とUVB感受性を比較したところ、UVB抵抗性を示す品種の多くは酵素活性の高い遺伝子型を有す一方、UVB感受性を示す品種の多くは、酵素活性の低い遺伝子型を有していることがわかった(投稿準備中)。また、日本以外の地域で栽培されているイネ品種が有する光回復酵素遺伝子の推定アミノ酸配列を調べたところ、日本型イネ品種が有する光回復酵素遺伝子とは異なる種々の遺伝子型があることがわかった。現在、遺伝子の変異と活性、UVB感受性との関係を調査している。 (2)光回復酵素遺伝子の変異に伴う活性の低下が、UVB感受性を導いていることの検定 (1)高い光回復酵素活性を有する遺伝子の選抜と、組換え体イネ品種の作出 高い活性を有するササニシキの光回復酵素遺伝子をUVB抵抗性品種(ササニシキ)、およびUVB感受性品種(農林1号)に、アグロバクテリウム感染法により導入した組換え体イネを作製し、T2種子を得ることに成功した。 (2)CPD光回復酵素とUVB感受性に関する遺伝学的解析 UVB抵抗性ササニシキと感受性サージャンキでは、光回復酵素のアミノ配列が異なることで活性が異なることを見いだした。これら2品種間の交雑後代を材料に、UVB感受性と光回復酵素活性・遺伝子型との関係に関する遺伝解析を行った結果、UVB抵抗住は半回復酵素活性に強く依存していることが判明した(投稿中)。
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