研究概要 |
平成14年度は伸縮性のある新規なポリマーの合成および筒状の3次元構造体への成形実験を行う.目的の項で既に簡単に記述したが,ポリ乳酸,ポリグリコール酸,ポリカプロラクトンなどのモノポリマーやポリ乳酸とポリグリコール酸との共重合体は硬いものであるが,ポリカプロラクトン,ポリ乳酸の共重合体を作製するとその結晶性の違いから材料として柔らかい性質を帯びてくることが既にわかっていた.しかしながら,従来のカプロラクトンと乳酸との共重合体は,カプロラクトンと乳酸が直鎖状に配列したもので,弾性範囲が狭く,容易に塑性変形する性質を有していた.そこで,当該申請者は,柔軟な成分であるカプロラクトンと乳酸の直鎖状の共重合体を4つの手が3次元的に出ている(テトラポットのような形状を有する最小構造体)ペンタエリチリトールに共有結合し,カプロラクトンと乳酸の共重合体の先端に光重合性の官能基(アクリレート基)をつけた後に,鋳型に流した後に光を照射し,3次元的なネットワーク構造を形成することによってはじめて伸縮性のある構造体の作製を試みた.作製したポリマーのヤング率および破断強度はマクロモノマーの分子量の増加に伴い減少することがわかり,ポリマーの分子量を変えることによって血管と同等の力学的な性質を有する血管用担体の作製が可能であることが示唆された.
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