研究概要 |
本年度は,研究の初年度であるため、本格的な総合的研究のための準備作業を主として進めた。『テアイテトス』に対する総合的な基礎研究を中心に展開するという当初の予定に従い、まず『テアイテトス』に対する翻訳および注釈の作業に着手した。これは、本年度中には基礎的作業を完了する計画であったが、思うように作業が進まず、次年度に繰り越すことになった。本年度、具体的に行った主な作業は、欧米における研究書および関連論文を収集・整理であり、その内容分析と研究動向調査は来年度も継続して行うことになった。 本年度後半には、前半の基礎研究の成果を踏まえて、『テアイテトス』のテキストに対する具体的な検討作業を進めていく予定であった。これについては、翻訳およびテキストへの注釈作業の一部に取り掛かったが、本年度中にその骨子を完成させるという目標は達成できなかった。これについても、次年度に継続して作業を続けることになった。 さらに、以上の作業と平行して、次年度以降の研究を効率的に遂行するための予備的作業も進めた。具体的には、(1)初期対話篇に対するこれまでの研究をまとめ、初期思想における知識概念に対する一定の総合的な見取り図を描く、(2)『パイドン』と『国家』におけるイデア論の構造とその問題点に対するこれまでの研究を調査し、中期思想におけるプラトンの知識論についての基礎的な調査を行う、などの作業を行った。
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