• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2002 年度 実績報告書

エメサのエウセビオスの解釈学

研究課題

研究課題/領域番号 14710012
研究機関大阪府立工業高等専門学校

研究代表者

武藤 慎一  大阪府立工業高等専門学校, 一般教養科, 講師 (90321455)

キーワードエメサのエウセビオス / 解釈学 / アンティオキア学派
研究概要

14年度は、エメサのエウセビオスの解釈学を明らかにするため、「理解する」(解釈する)ということを彼がどう理解していたか、という解釈学の根本問題を扱った。具体的にはまず、釈義的文書の一部がギリシア語原典で残されているので、それを詳細に検討することにより、彼の具体的な聖書解釈の根底にある解釈学を読み取っていった。次に、彼の解釈学が示されているラテン語訳を中心としてシリア語訳、アルメニア語訳で残されている釈義的文書及び講話も逐次検討した。最後に、そのようにして明らかになったエウセビオスの解釈学の特徴を彼の同時代のギリシア語圏及びシリア語圏の著述家と比較し、その独自性と共通性を明確にした。
エウセビオスによると、聖書は難解でも曖昧でもない。一見不明瞭な箇所がある場合でも、読者がその文脈を注意深く辿るなら、著者自身がそれを説明してくれる。著者自身が説明しないとしても、他の箇所の引用によって、他の聖書記者が代わりにそれをしてくれる。したがって、聖書を解釈するのはエウセビオスではなく、聖書それ自体なのである。彼の聴衆はこのような解釈に容易に反対することはできない。このような解釈学は明らかに、エウセビオスが「創始者」とされるアンティオキア釈義学派のそれと共通している。シリア語圏の解釈学を代表するニシビスのエフライムとの比較では、エウセビオスが聞き手に聖書箇所の「唯一の、真の」解釈を教えようとする傾向があるのに対して、エフライムは他の多くの解釈可能性により開かれている。両者の間には本質的な相違があるので、従来の説のようにシリア的解釈学をアンティオキア型と見なすべきではない。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Shinichi Muto: "The Hermeneutics of Eusebius of Emesa in Comparison with That of Ephrem of Nisibis"The Harp. 16(未定). (2003)

URL: 

公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi