おおむね平成15年度の研究実施計画に従い、順調に調査研究が遂行された。イタリアでは、ヴェネツィアの国立マルチャーナ図書館、フィレンツェのドイツ研究所図書館、ヴァティカン教皇庁図書館等において、関連写本の調査および資料収集を行った。また、『ボルソ・デステの聖書』のファクシミリ版を所蔵する東京大学、印刷博物館等において、写本の調査および撮影作業を行った。 本年度は『ボルソ・デステの聖書』の挿絵においてボルソが旧約の王や聖ゲオルギウスのような聖人等に見立てて称揚されている様子を明らかにした。また同時代史料より、ボルソ在世中にフェッラーラやモーデナ、レッジョ・エミリアなどエステ家の領土内で執り行われた祝祭において、山車の装飾や活人画、行列の構成などに、同様の趣向が見られたことを検討し、宮廷祝祭と宮廷美術の密接な関係の考察に及んだ。 これらの研究成果の一部は、第27回地中海学会大会のシンポジウム「地中海世界の祝祭」においてパネラーとして報告した(「ルネサンスの祝祭における行列について」、平成15年6月22日、金沢美術工芸大学)。
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