ラットに味覚溶液を摂取させてかち回転カゴで自由に走行させるという手続きを繰り返すと、当該味覚溶液の摂取量が徐々に減少していく。これは、味覚刺激を条件刺激、回転カゴ走行を無条件刺激とした古典的条件づけによる味覚嫌悪学習だと考えられている。前年度(平成14年度)に引き続き、一般的な古典的条件づけ事態で確認・研究されているさまざまな現象を、自発的な回転カゴ走行により生じる味覚嫌悪学習の事態において再現できるかどうか、実験的検討を続けた。具体的には、消去・自発的回復・隠蔽の3つの現象を確認できた。しかし、阻止と過剰予期効果については、それぞれ複数の実験を行ったが確認できなかった。用いた操作変数が不適切であったことも考えられるため、さらに検討する必要がある。また、回転カゴでの自発的走行を無条件刺激に用いた場合、塩化リチウム投与を無条件刺激にした場合と同様に、味覚刺激よりも視覚刺激と結びつきやすいことを確認した。回転カゴ走行時のストレス指標の計測は行えなかったが、強制遊泳によっても味覚嫌悪学習が生じることを複数の実験で確認した。このことから、運動ストレスが味覚嫌悪学習を成立させている可能性が示唆される。
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